富裕層を対象とした医療ツーリズム

人間ドックや健診、病気の治療、人工授精、美容整形手術などを受けるために外国へ渡航する「医療ツーリズム」が富裕層を中心に広がりを見せています。アジア地域は、その一大拠点となっており、日本からは観光と美容整形などを目的に韓国やタイ、シンガポールなどへ渡航する人が増えています。

日本でも政府は「新成長戦略」のなかで、アジアの富裕層等を対象とした健診、治療等の医療および関連サービスを観光とも連携して促進すると打ち出して以来、急速に注目が高まりました。日本で医療を受ける外国人とその同伴者にはビザが発行され6ヶ月の大勢が認められます。ビザの発行には、旅行会社や医療コーディネーターなどの身元保証が必要です。

日本政策投資銀行は、①高品質の健診、検診を求める新興国の富裕層、②最先端の医療技術を求める世界の患者、③低コストの衣料を求める先進国のツーリストの需要などが認めると分析し、観光を含む医療ツーリズムの市場規模は約5,500億円と試算しています。

一方、医師や看護師不足の中、自由診療である海外からの患者を優遇して国内医療がおろそかになるのではという懸念もあります。

医師が働きやすい環境を備えた大阪厚生年金病院

勤務医が相次いで病院を辞めたために診療科の休止や別病院との統廃合が行なわれたりする事例が増えていますが、勤務医の報酬が開業医に比べて低すぎるというだけが、病院をする理由ではありません。一番多い理由は労働環境が厳しすぎるということでしょう。

しかし、医師にとって働きやすい病院というのは客観的に数値化しにくいものです。どの病院も人材確保のために「うちにはこんな制度があります。柔軟な勤務形態で相談にのります。残業はほとんどありません。」とアピールしても、なかなか確かめにくいもの。

そんななか誕生したのが、病院の経営トップの経営方針や女医向けの育児支援策などの7つの項目を専門家、医師、弁護士などがレート付けを行って認定を行う病院評価事業(ホスピレート)です。15の病院が認定を受けていますが、実際に医師の働きやすい環境をそれなりの投資を行って整え、認定を受けたら、それらの病院の取り組みは評判となり、それまで医師の確保が難しかった医療機関も人員が増えたそうです。

尊厳死の法制化

日本の医療界は、延命治療の中止の問題を長い間抱えていながらも、倫理上で非常に難しいテーマであるために、終末期医療の問題に正面から向き合ってきませんでした。そんななか、1991年の東海大病院で安楽死事件が起きたのをひとつのきっかけとして、延命治療を中止するケースが相次いで明らかになりました。

これらを受けて2007年以降、厚生労働省や日本救急医学会などの医療団体が、終末期現場での医師の刑事訴追を避けることなどを目的に、終末期医療のガイドラインを作成。患者家族の意思を十分に尊重し、治療中止の決定は医療チームで行うほか、その内容を文章化するなどが定められました。

同様の問題を抱えながら、延命治療の中止を合法化を行ったフランスでは、緩和ケアの体制が整備されつつあります。一方日本では、尊厳死の法制化に対して医療界から依然として慎重な声が多く聞かれます。人口の高齢化が今後急激に進むことから、延命治療の中止の法制かも含め、終末期医療のあり方を真剣に議論する必要がありそうです。

救急車をタクシー代わりにする患者が増加中

救急外来は重症患者を対象とした設備と人員配置になっていますが、近年は軽症にもかかわらずタクシー代わりに救急車を呼びつけて、夜間や休日の救急外来を利用する患者が増えて問題になっています。このような事態が続けば、本来治療が必要な重症患者の順番が遅れたり、入院患者の様体の急変に対応できなくなります。また、医師が休養を取れなくなって、翌日以降の診察に影響も及ぼしかねません。医療系ニュースでも報道されているように、医療現場を立ち去る勤務医が増えている原因の一つにはこのような患者のモラルハザードも挙げられrます。

そのため、緊急性のない診療時間外の審査圧を希望する患者には、初診料に上乗せする形で特別料金(3150~8400円)を徴収する救急病院が増えています。時間外料金の導入を決めた病院では、患者数が20%程度減少したところもあります。「平日休めない」、「昼間は病院が混雑している」などの理由で救急外来を利用していた患者が以下に多いかが分かる数字です。

厚生労働省は時間外診療について、以前から病院の裁量で健康保険を適用せず、特別料金を上乗せできる制度を設けており、地元の社会保険事務局に届け出れば実施することができます。ただし、この料金が負担になって重症患者まで受診を控えることを心配する意見もあります。

ミカルディス:降圧薬と治験の話

近年、中年男性と高齢女性において肥満やメタボリックシンドロームが増加しています。加えて、高血圧患者も増加しており、メタボリックシンドロームに代表される内臓脂肪型肥満や脂質代謝異常、糖代謝異常などを伴う高血圧の患者さんが増加しているといえます。

肥満やメタボリックシンドロームを伴う高血圧患者では、動脈硬化発症リスクが高いため、高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)で推奨されている通りRA系阻害薬を用いた厳格な降圧が求められます。なかでもARBテルミサルタン(ミカルディス)は強力な効果が24時間持続することが報告されています。

ミカルディスは、血中濃度の半減期が24時間と長いうえ、脂溶性が高く組織移行性に優れるという特徴を有しているほか、AT1(アンジオテンシンⅡタイプ1)受容体に対する遮断活性が高いことが報告されており、これらの特徴により血管や腎臓、交感神経に存在する組織RA系を協力に阻害して、降圧効果が24時間持続すると考えられています。

既存薬と同等あるいはそれを上回る効果や安全性が期待できる新薬を開発した場合、製薬会社はその製造販売に関して、薬事法上の承認を得る必要があります。そのために行われる臨床試験が治験です。治験のアルバイト(正確には有償の医学ボランティア)に参加する場合、最新の医療を受けるチャンスと謝礼を受け取ることができますが、僅かながらも薬の副作用で健康被害をこうむることもあります。

脱水症には水分補給が重要

私たちの体の半分以上は水分からできています。激しい運動や猛暑によって、足として体から必要以上の水分が失われてしまった症状を「脱水症」といいます。最初はのどの渇きに始まり、それがさらに進行していくとフラフラになり、意識が朦朧としてきます。

脱水症状の際に、体が最も吸収しやすいといわれている飲料は、水と一般的なスポーツドリンクを1対1で割ったものです。温度はギンギンに冷やしたものより、5~13℃くらいのものが適当です。しばらく落ち着かせてから、医師の診察を受けるようにしましょう。

脱水症の予防にはこまめな水分補給が基本ですが、利尿作用で飲んだ水分以上のものが体外に出てしまうビールは禁物です。

のどの渇きを感じたときには、既に脱水症状が始まっているとも言われているほど、脱水症状は誰もがその症状に襲われる危険があります。これは水分が欠乏して起こる「高張性脱水症」と体内の塩分が消費されて起こる「低張性脱水症」の2つに分類されます。

のどの渇きを感じる前者ではブドウ糖を多く含んだ水分を体内に欲しています。また後者の方は身体の倦怠感を感じるため、クエン酸やアミノ酸を吸収することで改善されます。

健康づくりのための運動指針

厚生労働省は生活習慣病の予防を目的に打ち出した「健康づくりのための運動指針」では、安静時よりも多くのエネルギーを消費する動きのことを「身体活動」として、週に23EXの身体活動を推奨しています。

従来、カロリーという単位を表示して、どれだけその運動を行えば、どのくらいのカロリーが消費されるのかを表記するのが一般的でしたが、ここではEXという単位を使用しています。EXを採用した理由は、同じ内容の身体活動でも、体重が増えれば消費カロリーも変わってくるという事情が関係しています。

「身体活動」には、体力の維持や向上を目的に、計画的・意図的に実施するランニング、エアロビクス、サイクリング、水中運動、各種スポーツなどの「運動」と、それ以外の「生活活動」があります。健康な人の目標は週23EXのうちの4EXを「運動」で消費するですが、内臓脂肪を確実に減少させるためには10EX異常の運動量が必要です。

例えば「運動」ではランニングを4分、水中運動15分を行えば1EXとなりますし、「生活活動」では、犬の散歩を12分、掃除などの家事を17分、普通のウォーキング20分で1EXを消費することになります。

食事を無理に減らさなくても、週10EX程度の運動量を増加させれば、1ヶ月で1~2%の内臓脂肪を減少させることができるといわれています。メタボリックシンドロームや予備軍の人は、一度チャレンジしてみると効果を実感できるかと思います。